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「 私は貝になりたい (2008)  」
2008-11-22 Sat 23:39

【私は貝になりたい】2009年11月22日(土)公開

監督・脚本 : 福澤克雄

出演 : 中居正広/仲間由紀恵/加藤翼/ 他
期待度 : ★★★★ → 観賞後の評価 ★★★☆

原作 : 加藤哲太郎 『狂える戦犯死刑囚』 ・橋本忍

   

「 私は貝になりたい (2008) 」

 

 

■監督は、「愛していると言ってくれ (1995)」、「3年B組金八先生 (第4~6シリーズ)」、「華麗なる一族 (2007)」などテレビの大ヒット番組を担当した 福澤克雄 。


■清水豊松(理髪店の主人)役は、「ナニワ金融道 (1996)」シリーズ、「白い影 (2001)」、「砂の器 (2004)」などの大ヒットテレビドラマで主役を務め、映画でも 「模倣犯(2002) 」などで主役を務めた、国民的人気グループSMAPのリーダー中居正広。「笑っていいとも」などのレギュラー出演や司会業でも才能を発揮し紅白の司会を担当するなど目覚ましい活躍をし続けていますね。・・っとっこで四の五の書くより、皆さんのほうが詳しいことでしょう(笑)

■清水房江(豊松の妻)役は、 「トリック 劇場版 (2002)」シリーズ、「SHINOBI (2005)」、「大奥 (2006)」の仲間由紀恵 。「ごくせん (第1期) (2002)」シリーズなどテレビドラマに限らず、仲居君同様、紅白の司会にも抜擢されていますね。
     
■ 敏子(房江の妹)役は、  柴本 幸

■根本(薬屋・町内会長)役は、「警部補・古畑任三郎 (第1期) (1994)」シリースで田村正和演じる古畑任三郎の部下の今泉慎太郎役で良い味を出して人気の西村雅彦。「マルタイの女 (1997)」、「ラヂオの時間 (1997)」などでブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。

■三宅(郵便局長は、) 平田 満

■酒井正吉(豊松の友人)役は、 マギー

■健一(豊松と房江の長男)役は、 加藤 翼

■竹内(町役場職員)役は、  武田鉄矢

■尾上中佐(大隊長)役は、 伊武雅刀

■足立少尉(小隊長)役は、 名高達男

■木村軍曹役は、 武野功雄

■立石上等兵役は、 六平直政

■滝田二等兵役は 荒川良々

■西沢卓次(死刑囚)役は、 笑福亭鶴瓶
     
■小宮(教誨師)役は、 上川隆也
     
■矢野中将(中部軍司令官)役は、 石坂浩二。

 


 

Story : 清水豊松は高知の漁港町で、理髪店を営んでいる。家族は女房の房江と一人息子の健一。戦争が激しさを増し、豊松にも赤紙が届く。不安を断ち切るように彼は陽気にヨサコイ節を踊って戦地へ出発する。ある日、撃墜されたB29の搭乗員が大北山山中にパラシュートで降下した。「搭乗員を逮捕、適当に処分せよ」司令官の矢野中将の命令が伝達され、豊松の属する中隊が行動を開始。発見された米兵は、一名が死亡、二名も虫の息だった。中将の命令は何人かの将官を伝わり、最終的に米兵の処刑となって立石上等兵に伝えられた。立石がその執行役に選び出したのは、豊松と滝田の二名。立木に縛られた米兵に向かって、豊松は歯を食いしばりながら銃剣を突き刺した…。戦争が終わり、豊松は再び家族と平和な生活に戻る。しかし、豊松は大北山事件の戦犯として逮捕、絞首刑の判決を受ける…。



「2008年11月22日公開」

ー  作品情報より ー

 

 

「貝になりたい」は1958年にテレビで放送され、評判を呼び、1959年に映画化公開され、その後テレビ、映画ともにリメイクされています。

テレビ版は、ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞した世界の黒澤監督の「羅生門」で脚本家としてデビューした橋本忍が、TBSの前身であるKRTでテレビムービー「私は貝になりたい(1958)」で脚本を手がけ、TBSとなってからの「私は貝になりたい(1994)」も自身の手で脚本を手がけました。

本作は、橋本忍が、加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」を元に脚本を手がけて映画監督デビューを果たした「私は貝になりたい(1959)」のリメイク「私は貝になりたい(2008)」を、監督を福澤克雄が担当し、オリジナルにはなかった家族愛を描いた脚本を橋本忍自身で担当しました。

 

テレビドラマの94年版は、

清水豊松役は、所ジョージ
清水房江役は、田中美佐子
清水健一役は、長沼達矢
房江の妹役は、瀬戸朝香
矢野中将役は、津川雅彦

っと、ぐっと最近の知ったお名前の俳優さんたちが名を連ねる中、清水豊松役は、所ジョージ ですよ~。ちょっとイメージ出来なくないですか?逆にどんなんだったか興味が湧き、観てみたくなりました。

そして、1959年のオリジナル映画のクレジットを観ていてまたまたびっくり(笑)

清水豊松役は、フランキー堺
清水房江役は、新珠三千代
清水健一(健坊)役は、菅野彰雄(後の若人あきら、現・我修院達也)

豊松の息子の健坊役は、なんと(笑)我修院達也。子役出身だったのですね!(笑)コメディアンだとばかり思っていました!(笑)

 

ちなみに、去年2007年にも日本テレビで「私は貝になりたい(2007)」が放送されていますが、上記2作品とは内容が違います。主役が「『狂える戦犯死刑囚」の加藤哲太郎になっています。公式HPはこちら。シチュエーションもストーリーもちょっと違っていますね。こちらは加藤の体験をもとにした手記のドラマ化ですので、よりノンフィクションに近いということになるのでしょうかね。

本作「私は貝になりたい (2008)」 の以下の遺書部分と映画のタイトルが加藤哲太郎の「狂える戦犯死刑囚」からの引用があったなどとする複雑ないきさつがあって、裁判沙汰があった末、ストーリーは違いますが、原作者として加藤哲太郎がクレジットされるに至ったということのようです。

 

「せめて生まれ代わることが出来るのなら、
いいえ、お父さんは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。
人間なんて嫌だ。牛か馬の方がいい。
いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら、
いっそ深い海の底の貝にでも・・・
そうだ、貝がいい。
貝だったら、深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。
兵隊にとられることもない。
戦争もない。
房江や、健一のことを心配することもない。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい・・・」

 

 

そして、かな~り前置きが長くなりましたが、仲居君主演の本作は、激やせぶりから映画の撮影中を明かされ、B・C級戦犯で処刑される清水豊松の役を演じると言うことで、私も長い間楽しみにして来た作品です。

アメリカ空軍によるハーグ国際条約に違反した非軍事施設の民家への焼夷弾爆撃や空爆で東京を焦土と化した末、日本陸軍の爆撃でB-29から落下傘で落ち延びたアメリカ兵を処刑した罪で、敗戦後巣鴨プリズンで、A級、B・C級戦犯が絞首刑で処刑されるというストーリー。

っとここまで書くと、同じことを感じた方も多いかと思いますが、今年の3月1日に公開された「明日への遺言(2008)」を思い出しますね。

こちらのほうは、名古屋への無差別爆撃を実行したB29搭乗の米兵を略式裁判で処刑した罪に問われ処刑された東海軍司令官・岡田資中将のお話でした。私のブログでの感想はこちら

その感想の中で、「通常なら敗戦国としては、これほどまでの公正な裁判は行われることなく戦犯として裁決され処刑されているのが現実。」・・と書きましたが、まさにこの「貝になりたい(2008)」は巣鴨プリズンで行われた、その公正な裁判が行われることなく絞首刑になっていった現実を描いた作品といえると思います。

そもそも戦争ということ自体私利私欲のための大量殺人であって、一方的に仕掛けられて防衛する以外のものは、どっちが正義でどっちが悪か、なんってあり得ないのですし、民主主義もくそもない(・・くそ・・あら、お言葉が悪すぎですわ・・)。それで一方的に裁判にかけらるのは理不尽以外のなにものでもないですよね。

何万人も殺した捕虜たった一人を殺した罪で絞首刑にされるなんって納得いかなさすぎです。

だって、誰だって戦争になんか行きたくないし、誰も殺したくなんかないはずですもの。

尚更、命令とは言え、真上から爆弾を投下して家族や親せきを一瞬にして殺りくして、町を火の海にして焼き尽くしていた実行犯本人達が目の前に降りてきたら、憎くない訳がない・・・・

八つ裂きにしたって到底足りるわけもないのです。

戦争をすると言いだした本人達と、安全なところにぬくぬくとしていてまるで駒を動かすだけのように、上で指揮した双方の当人が戦犯として裁かれるのは当然と思いますが、負けた方だけが戦犯だなんって事自体もおかしな話です。

本来、民主主義だったら、勝った国の戦犯も同じく裁くべきじゃないですか。一番悪いのは人を殺しても自分だけ良い思いをしようとする利己主義の最たる極形が戦争そのものですものね。

そんな事を如実に感じられるのは、負けた国だからこそ・・・なのかもしれません。戦争に限らず、勝ち続けて良い思いをしているうちは、負けたものの痛みは感じにくいものだと思います。

争いによって誰かが得るものがあるとすれば、それは勝った国でも同じことですが、とりわけ負けた側の多くの悲しみや死や犠牲の上に成り立っていることを知るべきです・・・・

人間は愚かだから、喉元過ぎれば熱さを忘れます。だからこそ、そんな事をいつまでも忘れないためにも、悲しみとともに犠牲になって死んでいった人たちの事を知るべきだし、忘れないように繰り返し見なければいけないのかもしれません。

そういう意味でも戦争体験者や家族だけでなく、本作のように国民的アイドル仲居君や好感度の高い仲間さんがキャスティングされる事によって、戦争を知らない世代のより多くの若者達が、この間違ってしまった歴史に触れて二度とこんな間違いを犯してはならないことを体感できる良い機会を与えてくれているという点では、映画という作品の出来いかんを問わず、貢献度が大きい作品と言えるのではないでしょうか。

私は、作品を観ている時にはそれほど泣けなかったのですが、終わった後にエンドロールを眺めながら押し寄せるようなさまざまな理不尽さへの複雑な気持ちがあふれて来て、涙が止まらなくなりました。

是非たくさんの方に観ていただきたいと思います。

 

だいぶ前に試写会で観たのですが、アップするのが、とうとう公開日になってしまいました・・・・(反省・・・・

 

~おしまい~

 

 

 


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