「 つぐない / Atonement (2008) 」
イアン・マキューアンの最高傑作として名高い世界的ベストセラー小説「贖罪(2001)」の映画化です。
| ■第65回ゴールデン・グローブ賞最多7部門でノミネート
*作品賞
*主演男優賞(ジェームズ・マカヴォイ)
*主演女優賞(キーラ・ナイトレイ)
*監督賞(ジョー・ライト)
*助演女優賞(シアーシャ・ローナン)
*脚本賞(クリストファー・ハンプトン)
*作曲賞(ダリオ・マリアネッリ)
---------------------------------
■第80回アカデミー賞7部門ノミネート
*作品賞
*助演女優賞 (シアーシャ・ローナン)
*脚色賞 (クリストファー・ハンプトン)
*撮影賞 (シーマス・マッガーヴェイ)
*作曲賞 (ダリオ・マリアネッリ)
*美術賞 (Katie Spencer サラ・グリーンウッド)
*衣裳デザイン賞 (ジャクリーン・デュラン)

■イアン・マキューアン「贖罪 上・下」(新潮社)
|
監督は、2005年・第59回英国アカデミー賞で新人監督賞を受賞した「プライドと偏見 (2005)」から本作が劇映画2作目となるジョー・ライト。
主役は、 舞台俳優ウィル・ナイトレイを父に持ち、劇作家シャーマン・マクドナルドを母に持ち、早くから演じることへの興味を持ち9歳にして「A
Village Affair(1993)」でデビューした、キーラ・ナイトレイ。
人気シリーズのひとつ「「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス (1999)」でアミダラを演じたナタリー・ポートマンの影武者役を演じたことで関係者の目にとまり、その後一気に大きな役に抜擢されていきます。
「ベッカムに恋して (2002)」以来正統派美系女優としてその名を確立していき、「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち (2003)」でその人気を不動のものにしました。昨今では、パイレーツシリーズを除けば文学的作品への傾倒を強めてきているようですね〜
日本でも最近ではシャネルの香水のCMお見かけする、など名実ともにハリウッドの一流女優として認められてきていますね。一時はその激やせぶりが気になったところですが、お仕事も順調なようです。
共演は、「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(2005)」でかわいいスーザンのお友達タムナスさんを演じ、「ラストキング・オブ・スコットランド
(2006)」では青年医師ニコラス・ギャリガンを熱演した、 ジェームズ・マカヴォイ。
そして、本作でデビューとなった新人ながら、2007年・第80回アカデミー賞において助演女優賞にノミネートされた、シアーシャ・ローナン。
Story : 1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女に生まれた美しいヒロイン、セシーリア。兄妹のように育てられた使用人の息子・ロビーを、身分の違いを越えて愛しているのだと初めて気付いたある夏の日、生まれたばかりの二人の愛は、小説家を目指す多感な妹・ブライオニーのついた哀しい嘘によって引き裂かれることになる。生と死が背中合わせの、戦場の最前線に送り出されるロビー。彼の帰りをひたすらに待ち、「私のもとに帰ってきて」と手紙をしたため続けるセシーリア。そして、自分の犯した罪の重さを思い知らされるブライオニー。セシーリアとロビーは、再び会えるのか?ブライオニーが罪を贖える日はやってくるのか?3人の運命は、無情な時代の流れの中にのみ込まれていく…。
「2008年4月12日公開 」
ー より ー
|
映像で見る文学作品と言う言葉がぴったりな作品です。
タイプライターの音と融合した静かな美しいメロディーにのせて、二人の美しい姉妹の、未熟な恋と禁断の身分の違いを乗り越えようとする激しい恋が交錯して起こってしまった悲劇・・・
文学性の高さで評判のイアン・マキューアンの小説が映画化された5作品の中で、日本で公開されたのは、本作とダニエル・クレイグ主演の「Jの悲劇/Enduring
Love (2004) 」の2作品だけです。
結論からいえば、小説の世界感を映像として2時間の中でまとめあげることがいかに難しいかということを痛感させられます。
恋に恋する多感な時期の憧れにも似た初恋が一変して嫌悪と変わり、激しい憎しみとなって、思わずついてしまった嘘が、愛し始めたばかりの姉セシーリアとロビーの二人の人生を変え、その後悔の念と贖罪の重荷を背負い、自分自身の一生をも変えてしまう、そんな重いテーマからなるこの悲劇のラヴ・ストーリー。
窓際で外に出たくてもがく蜂や、セシーリアが落としたイヤリングなど、ストーリーの流れの必然性を小物の使い方に凝って作っています。
そして小説を書く才能の持ち主のブライオニーの少しずつ歪曲してずれていく未熟で多感な想像力が生み出す映像と、事実の流れを交互に描く手法を使っていて、この映像の手法が効果的に働く前半のシアーシャ・ローナン演じるブライオニーの心の変化が痛いほど理解できるのですが、次第に、今と回想の映像が交互に挿入され、いつ来るともしれない祖国に帰る船を待ちながら、水も食料もなく帰るに帰れない絶望感が彼の被弾した体の体力を消耗しきって、夢想を抱くシーンから精神状態も狂ってくるシーンとが、混乱を招く結果を招き、注意力を切らさずに観ないとわけがわからなくなりそうな、かえって逆効果とも思える後半についていけないとこの映画を堪能できません。
「私のもとにもどっ来て・・・」そう切々と願うセシーリアの手紙と愛に応えるように、精神状態が憔悴しきって、ストーリーはやり直せる、あの時、あの瞬間に戻りたい・・・・その思いだけが、ロビーの心を支配し続ける。
ラスト、ロビーはセシーリアのもとに無事帰る事ができたのか、人生をやり直すことができたのか・・・77歳になったブライオニーの口から真実が語られる事になるのです。

一度目でよくわからなかった方は、ラストを観てからもう一回観てみるとよくわかると思います。
一通の間違って渡された手紙がなかったら、ロビーの気持ちを薄々感じてはいたものの素直にそれを認めようとしなかったセシーリアの気持ちを動かすこともなかったかもしれないし、あの手紙がそのままゴミ箱の中で眠っていたとしたら・・・・二人の愛は燃え上がることはなかったかもしれない代わりにロビーは医者になっていたかもしれない・・・そう思えるのです。
いずれにしても取り返しのつかない運命の歯車は回ってしまったです。
GG賞・アカデミー賞ともに作曲賞にノミネートされるに納得の音楽が良いです。

■つぐない オリジナル・サウンドトラック
1. ブライオニー
2. ロビーとセシーリア
3. 噴水の前のふたり
4. シー・ユー・アンド・ティー
5. 噂の証言
6. 引き裂かれた恋人たち
7. ラヴ・レター
8. 瀕死の兵士たち
9. レスキュー・ミー
10. エレジー・フォー・ダンケルク
11. 戻ってきて、私のところへ
12. 結末
13. 海辺のコテージ 14. つぐない
15. 月の光(ドビュッシー) |
〜 おしまい 〜